中公旧版「世界の歴史」が好きだったという話から、世界史本の話を真面目にやろうと思っていたのだが、変な大学受験の話に脱線してしまった。もっとも、どっちに転ぼうとも社会的な影響はないし、炎上することもないのが弱小ブログのいいところである。要するに、地方の二流校から東京の有名私大に進学するのは至難の業だということを言いたかった。学校はまともな受験対策などやってくれないので、独学で偏差値を70以上に上げて、新幹線で一日がかりで受けに行かなくてはならない。こっちはそうやって苦心の末にやっと滑り込んでいるわけだが、入学してみると開成や麻布といった有名校から来ているやつがいるのだね。そいつらは東大に入れなかった落ちこぼれでガックリしていて、まったくいろんなやつがいるもんだなあと思った。
さて、僕の受験科目は国語・英語・社会(世界史)のはずだったのだが、願書の記入間違いでなぜか日本史で受けることになっちゃった話は、前回のアホな記事のとおりである。国語は得意科目であって、古文・漢文では全国模試で上位に入るほどだったので安心していたら、突然国語が廃止されて小論文とやらに変更されてしまった。というわけで、世界史と国語に関しては、それまでの受験勉強が完全にパーになってしまった。さらに言えば、僕の受けた某大学文学部の英語というのが、4、5ページのやたら長い文章を読んで問いに答えるという受験界でも有名な試験で、英単語とか構文とか覚えてもほとんど意味がないのであった。結局、必死になって暗記したことは何一つとして役に立たなかったわけで、ここまでバカバカしい大学受験もちょっと例がないのではないかと思われる。実際、普通に勉強して受けたもう一方の文学部の方は、順当に(?)落ちてしまった。

そんなことは単なる前置きなんですが(なげーよ)、高校時代には中公旧版「世界の歴史」に熱中して歴史好きになったわけである。当時(80年代まで)の少年が歴史マニアになる過程として、これは王道だったのだろう。世界史の概説書は各社から出ているが、中公旧版を超えるアイドル的存在は他にないだろうと思っていたら、講談社から「クロニック世界全史」という常識破りの一冊が発売された。これは「ジャパン・クロニック(日本全史)」と並んで、講談社が社運を賭けて放った歴史本の決定版であり、お値段も1万7千円という気絶的な設定だった。もっとも、この種の情報網羅系の大冊というのは、ネット時代になると完全に時代遅れと見なされるようになり、僕はそれぞれ古本屋で800円、600円で購入したのである。内容の充実度からいってこれはちょっと安すぎるだろう。中公「世界の歴史」みたいに、どの家にも応接間に飾ってあるというわけでもなかろうが、今どきの歴史少年養成ギプスは「クロニック世界全史」が担っているのではないか、と思ったのである。
これは早い話が歴史の百科事典なんですが、エピソードを新聞記事ふうに書いてあるのがミソである。歴史上の出来事を時系列でほとんど網羅しており、しかもトピックふうに軽く読めるところが面白い。欠点は読み出したらきりがなくなることと、大きさと重さが半端ではないこと。実際、読もうと思って本を持ち上げるたびに、腰がグキッとなるので困っているほどだ。あと、90年代前半に出たものだから、既に情報が古くなっている部分があり、日本全史に至っては例の考古学捏造事件をふまえた記述もあるが、その辺はご愛嬌といったところだろう。世界史好きの高校生なら、山川の「詳説世界史研究」を参考書にしている子がわりといるようだけど、そんなのはまだまだ子供の遊びである。やはり中公旧版「世界の歴史」や「クロニック世界全史」にのめり込んで、世界史の泥沼にはまってもらいたいものだ。そうやって時間を浪費したあげくに、なぜか日本史で受験したりしてね(それは俺だけ)。

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最終更新日 : 2021-04-25