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2021-04-07 (Wed) 14:02

小説の書き方講座 長編をバランスよく構成する方法とは


いつも言っとることですが、小説の書き方に決まりはないのである。だから「わしはわしのやり方でやるんじゃ」とオレ竜を貫いてくれていいんだが、誰でもそれで三冠王を取れるわけではない。やはり初心者はある程度の定石に従った方が上達が早いと思うのですな。まあ短編でもいいんだけど、今は短編をシコシコ書いても発表する場がほとんどない。SFでいえば専門誌はほとんど消滅して、SFマガジンは潰れかけ(なのか?)で新人を相手にしている余裕もないのでね。まだ長編の新人賞にガンガン応募して、編集者に名前を覚えてもらった方が早いと思うのである。ということで、例えば640枚の長編を書くことを想定してみよう。なんでこんな半端な数字かというと、4で割っていける数が説明するのに都合がいいからである。とりあえずそれくらいの枚数を書いて、内容が傑作だったらいきなり単行本で出版ということもありうるし、短編の発表先を探すよりも効率はいいだろう。


ざっくりと言えば、ストーリーを前半と後半に分けることが第一歩である。ここで、前半は謎の提示とその発展編、後半が解決編であると考えてもらいたい。そして、前半と後半にそれぞれクライマックスとラストシーンを設定し、前半は75%程度、後半は100%の盛り上がり(満足度)を目指して構成すれば、ちょうどバランスがよくなるだろう。分かりやすい例として、映画「ルパン三世 カリオストロの城」を思い出してみよう。前半はカリオストロ城への潜入と一回目のアクションであり、クライマックスではルパンが瀕死の重傷を負って、撤退と潜伏を余儀なくされる。この折り返し点でストーリーは180度転換し、後半はカリオストロ城への反攻というテーマのみを追求して、一気呵成にラストへと突き進んでゆくわけだ。基本的に、前半は時間がゆっくりと進行するのだが、後半は時間の密度が圧縮されてスピード感が増し、さらに場所もほとんど動くことがない。


レンズマン


さて、前半後半の構成が定まったなら、それをさらに二分割してみよう。つまり、前半の流れの中で「謎の提示→解決」という二段構えの構成を作り、後半でもまたそれをやればよい。前半でいえば、カリオストロ城への潜入→クラリスを連れて脱出を試みるという展開であり、後半はカリオストロ城への再潜入→クライマックスの大アクションという流れになる。これで全体が四分割されることになるので、160枚の四部構成が出来上がるよね。つまり160枚の小説を四つ書くイメージとなるわけだ。そして、またそれぞれを四分割して小さいクライマックスを設定しながら、40枚をひとくくりとしてストーリー構成をやっていけばいいのである。起承転結というのは古い言葉だし、そのまま小説に応用できるかどうかは謎なんだけど、四部構成だと少なくともバランスはよくなるし、めいっぱい盛り上げて最後に落とすという呼吸の妙は理にかなっていると言えるだろう。


こういうことを言っていると、「枚数でストーリーを決める馬鹿がいる」などと大笑いする手合いが必ずいるのだ。実際にそう言われて笑われたことは数多いんだが、僕はそういうマニュアルがあると言っているのではなくて、バランスよく構成するための目安について語っているのである。特に、ストーリーを二分割して折り返し点で180度転換するのは、エンターテインメントにおける基本中の基本と言っていい。これをさらに細分化して応用していけば、面白いストーリーを常に作り出せる理屈になるではないか。もちろんあえて定石を外すのも有効な手なんだけど、それは上級編であって、基本が出来てない状態でオレ流をやっても意味がないと言いたいのである。なにはともあれ、500枚・600枚の長編となると書く前からぐったりしてしまいそうだが、40枚を一単位として考えると気が楽になるし、書く意欲も湧いてくるのではないかと思う。







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最終更新日 : 2021-04-07

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