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2021-04-06 (Tue) 13:03

光瀬龍「百億の昼と千億の夜」 SFベストテン投票に思うこと


今世紀に入ってからのベストテン投票(いつだったかは忘れた)で、「夏への扉」が1位から転落して「ソラリス」がトップになったんだよね。あれは「ソラリスの陽のもとに」だとばかり思っていたら、ちょうど別の出版社から「ソラリス」のタイトルで新版が出たところだったので、そういうタイミングもあったのだろう。ハインライン信奉者の僕としては、まさに「2位じゃダメなんですか」状態なんですが、しかし「夏への扉」と「ソラリス」では傾向が違いすぎて比べようがないんじゃないのかな。ベストテンなんかはお遊びと言ってしまえばそれまでなんで、どうでもいいといえばいいんだけど、1位には老若男女誰が読んでも面白い作品を据えるべきだと思うわけである。しかし、これから御三家なんて読んだこともないゆとりが投票するようになると、さらに混沌とした結果になっていくのであろう。投票人数が少ないのをいいことに、好きな作品をゴリ押しして順位を上げる輩がいたりして(それは俺です)。


そこで話は国内SFである。こちらはやっぱりというか順当にというか、「百億の昼と千億の夜」が圧勝で1位になった。これは動かしようがないでしょうってことで、かく言う僕もこの作品を1位に入れたしね。上位に来るだけの風格のある国内SFを考えてみれば、「たそがれに還る」「燃える傾斜」「マイナス・ゼロ」とかいろいろありますが、意外と忠臣蔵ネタの「地球の汚名」も好き。しかし1位となると対抗馬は小松左京の「果てしなき流れの果てに」「日本沈没」「復活の日」なんかになってくるわけで、スケールと面白さを総合評価すると「百億の昼と千億の夜」だなあ、という流れになるであろう。やはり本格派で先発完投型の作品でないと投票しにくいところがあって、筒井康隆ならいくら傑作でも「アフリカの爆弾」は入れにくく、真面目な(?)展開である「七瀬ふたたび」の方が評価されちゃうのである。どうしてもいわば「よそいき」になるのは仕方のないところだろう。


百億の昼と千億の夜


さて、そういうことを言っとる僕は、小学生の時に「百億の昼と千億の夜」に入れあげておった渋すぎるガキなのである。それも萩尾望都が少年チャンピオンに連載する以前の話なんだから呆れてしまう。町内に一軒だけあった本屋に、角川文庫とハヤカワ文庫がなぜか充実していたので、SF方面の作品があるとすかさず買ってくるという生活であった。その頃に買ったものといえば、眉村卓のジュヴナイルや星新一作品はまだ分かるとして、「日本アパッチ族」「霊長類 南へ」「筒井順慶」とか一体どんな小学生だよって感じである。町内では本キチガイで有名だったのでまだよかったが、隣町まで遠征するともうダメで、本屋のおやじが「ふざけるな」と言ってなかなか売ってくれないのであった。海外SF関係ではちょうどハヤカワSFシリーズ(銀背)が終了して、ハヤカワSF文庫に本格的に移行を始めた頃であり、まさに時期がドンピシャだったのであろう。小坊の頃はそんなことばかりやっていたので、学校の図書室に置いてある子供向けにリライトされたSF全集は一切読んでいないのである。


ところで、こういうブログを読んでいる奇特な人はSFファンだろうと思うけど、ゆとり小僧(小娘)の諸君は「百億の昼と千億の夜」を読んでないかも知れない。これを読まないで国内SFもヘチマもないので、今すぐ読みなさいね。しかし、読んでも全然意味がわからんと怒り出す馬鹿が多いことだろうと思うが、心配するな、俺もわからん(おいおい)。要するに、この宇宙は超越者が創造したものだが、失敗作だったと判断されたので、「シ」の命を受けた惑星開発委員会が滅亡させようとしたのね。でも、それに反対する超越者もいて、阿修羅王・ブッダ・プラトン(実はアトランティスの司政官オリオナエ)の三人をサイボーグ戦士に改造して対抗するよう仕向けたのである。いやー、なんてわかりやすいんだ(全く理解できんわ)。萩尾望都ちゃんもいいんですけどね、漫画だと空間的に制限されちゃって、スケールの大きさが表現しきれないような気がする。想像力を刺激するのは、何と言っても小説が一番ですな。








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最終更新日 : 2021-04-06

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